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愛おしいキミに極甘な林檎を
第47章 白い雪と優しい熱

もうすぐ仕事に復帰するみたいだから、帰ったらすぐにご飯を食べれるこの生活ともおさらばなのが少し寂しい。
何もすることがなくて脳内で現実逃避を始めていた。
寒くてうずくまっていると少し間を空かせて雪原さんが隣に座ってきた。
マスクをしているから今日は顔全体が見えない。
長い前髪で隠れている細い目にまつ毛が長くて中性的な顔立ち。
この前は私服を着ていたけど、今日はスーツを着ているから大学生か社会人のように思えた。
そんなことを考えながら見ていると急に雪原さんと目が合い、驚いてドキリとする。
「ねぇ……、お姉さんって今何歳?」
「にっ、二十四ですけど……」
「それならボクが一つ年下か……。子供っぽいから同じくらいか年下かと思ってました……」
若く見られて嬉しいような、見下されているような複雑な気分だ。
「雪原さんはひとりで暮らしているんですか?あまり物音が聞こえてこないので」

