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愛おしいキミに極甘な林檎を
第48章 大切なキミの笑顔

二人の話を聞いて嫌われたくなくて必死だった。
でもその頃は何の結果も出していなかった。
唯一あるとしたら、絵画コンクールで賞を取ったこと。
クレヨンで描いた画用紙に銅賞と書かれた紙が貼られている。
これはまだ祖父には見せていなかった。
一番にはなれなかったけど、自分では一番上手に描けたものだった。
その絵を自信ありげに持ったソラ先輩は祖父の元へ向かう。
「お爺様!絵画コンクールに出した僕の絵を見て欲しいんです」
「また二番目か」
「三番目です……。でも金賞は取れませんでしたけど、この絵はお爺様とお婆様と僕を描いたんですよ。
三人で楽しく過ごしているところを描いたんです」
側に行っても祖父は仕事で忙しいのか、ソラ先輩の方を見ないで机に向かったままだった。
「一生懸命に取り組んだので上手に描けたと思います。だから手に取って見てください。……お爺様」

