この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛おしいキミに極甘な林檎を
第48章 大切なキミの笑顔

過去のことを話している間、ソラ先輩はずっと私に触れたままだった。
触れる力が弱かったから、きっとあまり話したくないことだったんだと思う。
途中で聞き出したことが申し訳なくなった私も過去の痛みを和らげたくて手を重ねていた。
「なんでも一番になれる人なんていませんよ。だからソラ先輩は失敗作なんかじゃありません」
「ありがとう……。それから母方の実家に行っては習い事も減らしたんだ。
お爺様を見返してやろうと思って勉強と共にできるだけ頑張っていたよ」
「高校生の時なんか全国学力テストで県内一位ですもんね。あんな訳の分からない問題をパーフェクトに解ける頭を持っているんですから誇っていいと思います」
返却されたテストを見せてもらったことがあるけど、あれは模範回答のようだった。
無駄な計算式を書いたり、適当な回答で埋めていた私と大違いだ。
「ふっ、そんなことを覚えていてもらえるなんて光栄だね」
「よく一緒にいたのでしっかり覚えてます」

