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愛おしいキミに極甘な林檎を
第49章 揺らぐ未来、そして……

「だっ、大丈夫です……。今日は朝から玉ねぎをいっぱい切っただけですから。
しかも、みじん切りをしてたら目のところまで汁が飛んじゃって」
心配されないように嘘を言うと課長は少し眉を寄せた。
「無理はしないでくれ。陸田の奥さんが退社して仕事が増えたと思うが、大変だったら周りの皆に頼っていいんだからな」
「はい……」
「…………。オレはいつでも乙羽の味方だからそう落ち込むな」
包容力を含んだ言い方でぽんぽんっと頭を撫でて元気づけてくれる。
なにで悩んでるか見抜かれているみたいだ。
課長の手はとても優しくて温かく感じたけど、欲しい温もりとは違っていて凍った心が溶けることはない。
こんなにもいい人なのに……。
どんな時でも私が求めている人は今はもうソラ先輩しかいなかった。

