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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛

「笑っていて欲しいから……。風子の幸せは俺の幸せなんだよ」
微笑みを浮かべて髪を撫でられた時、私の潤んだ瞳は限界が近づいてきた。
大好きな人の顔がどんどんぼやけて見えてくる。
涙が零れ落ちてしまわないように堪えるのがやっとで何か言いたいのに、何も言えなかった。
「でも昨日、瀬戸内さんと二人っきりになった時にどうしたのか聞かれてそのことを話したんだけどね、怒られたよ。覚悟のない優しさが風子を苦しめているって……」
恐らく私が那砂さんと足湯に浸かっている時にそのことを話していたんだろう。
遊園地に誘ってきたのも偶然のように思えなかった。
「俺を嫌いになれば風子は楽になれると思ったから嫌いになって欲しかったんだ」
平静を装って私に理由を話してくれているけど「苦しい」っと言った時の声は覚えている。
すぐ隠そうとするのが彼の悪いところだ。
「ソラ先輩の気持ちはどうなんですか……。本当に私に嫌われたいんですか?」

