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愛おしいキミに極甘な林檎を
第50章 pallidus memoriae*儚い恋と永久の愛

勢いよくドアを開けてから目の前に広がっていた光景を見て動きが止まる。
「おはよう、風子。丁度朝ご飯の準備が終わったところだよ」
明るくて温かい部屋に食欲をそそるウインナーが焼かれた匂い。
そんな中、笑顔を向けてきたのは冷たくはない、いつものソラ先輩だった。
両手には私が買ったペアのマグカップを持っていて、夢とは違った未来を進んでいることに安堵した。
当たり前になりかけていた毎日に幸せを感じて心が温かくなり、泣きそうになった私は唇を噛んでからソラ先輩の胸に飛び込む。
「うわっ、熱いから危ないよ?……嬉しいけど」
「だって私も嬉しいんですもん。朝ご飯作ってくれてありがとうございます」
「いいよ。ほら、顔を洗っておいで」
「なんだかお母さんみたいですね。ちょっと待っていてください」

