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愛おしいキミに極甘な林檎を
第51章 偽りの恋人

罵倒されて苦しいだけでなく恥ずかしい……。
どうしてこんなにも出会う同性には運がないんだろう。
過去の古傷を抉られているようで頭が痛くなってきて目には涙が浮かんでくる。
決定的な証拠もないから口では勝てない。
逃げ場がなくなった私はバッグを両手でぎゅっと握って立ち尽くしていることしかできなかった。
「お騒がせしてすみません、皆さん。なんでもありませんのでお引き取りください。……風子、どうしたの」
野次馬をかきわけてやってきたのはソラ先輩だった。
両肩に触れられるとホッとして顔を上げることができた。
目の前にいる女をこれ以上怒らせないようにこの状況をどう説明するか迷っていると先に女が話し出す。
「その女はうちの彼氏を寝取ったんですよ!」

