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愛おしいキミに極甘な林檎を
第52章 溺愛カレシと濃密な夜



しっかりと立ってからソラ先輩の方に一旦視線を向けると、男が私の肩に触れたからか顔中にどことなく殺気が漂っているように見えた。


今回の件は、私は何も悪くない。私はただ歩いていただけだ。



「すみません。この近くにフレンチバーがあると聞いたのですが、どこにあるか知りませんか?」



「えーっと、そこを突き当りを右に曲がるとカラオケ店があるんですけどそこのビルの三階ですよ」


指を差しながら課長が道を教えた後、男は私とソラ先輩の方を怪しむように何度かチラチラと見てくる。



誰でもスマホから情報を発信することのできる時代。


いつ、どこで、誰が、私たちがここにいることを明らかにしてもおかしくない。


そう思うと怖くなって、その男から急いで背を向けるようにソラ先輩の腕を引いた。




「あれ……。どこかで見たような……」


道を聞いてきた男からこちらを疑っているような言葉が聞こえてきてヒヤリとする。


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