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愛おしいキミに極甘な林檎を
第53章 あなたがそばにいれば……

また余計なことを言う。
「かっ、可愛いぞ乙羽」
「ありがとうございます……」
申し訳ないけど、言わせられてる感全開であまり嬉しくない……。
和室の宴会場に近づくにつれて、目にする人の数が多くなっていった。
集まっているのは同じ会社の人と言っても、他の課の社員もいるから知らない人だらけ。
でも僅かに知っている人もいる。
座席に向かう時に課長の元カノがと目が合ったけど、相変わらず向けられる視線が怖かった。
席に座ってから初めて参加する温泉ホテルでの宴会の様子を眺めていると、髪の毛が薄い叔父さんが入ってきた。
まるで有名人が来たようにその人のところへ人が集まっていく。
「ねえ、課長。あの叔父さんは誰ですか?」
「あの人は会長だ。後で挨拶に行って来ないとな」
「会長ってことは会社のファンクラブ会員みたいなものですか?」
「乙羽はたまに天然なところがあるな」
「はい……?」

