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愛おしいキミに極甘な林檎を
第53章 あなたがそばにいれば……

「あっ、すみません。いただきます」
会長は酒の入った徳利を向けてきて、私が両手で持った猪口に注いでくれた。
少量飲んで口から放すともっと飲むように勧められて、自棄になって一気に喉に流し込んだ。
程よい温かさになっているおかげで躊躇いなく飲める。
でも大人になりきれない舌を持つ私にとってその美味しさはまだ分からなかった。
「おっ、日本酒なのにいい飲みっぷりだねぇ。ほら、もう一杯」
「あ、はい。ありがとうございます」
働いている会社の社長と聞いたら、お酌を断りにくい……。
「会長、誰と話してるんですかー?」
「花城くんのとこの子と話してたよ。一人でいて可哀想だったから相手してあげて」
「あー、花城が気に入ってるって噂になってる子ですか。話は聞いてましたけど、可愛い子が入ってきてたんですね」

