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愛おしいキミに極甘な林檎を
第53章 あなたがそばにいれば……

社さんのその言葉でほんの一瞬息が止まってヒヤリとした。
私は口を閉じたまま、テーブルの下で手を揉み合わせてソラ先輩の返事に聞き耳を立てる。
「それは心穏やかでない話ですね。でも決まったことですから変更するつもりはありません」
「塑羅緒様ならそう言うと思っておりました。……だから今日は風子様にも用事があってお伺いしたのです」
「私にも……ですか?」
不思議に思って首を傾げると、社さんはビジネスバッグの中から取り出した書面に数字を書いて私の前にそっと置いた。
「このくらいあれば塑羅緒様との結婚を諦めていただけますでしょうか……?ご希望であれば金額を増やされても構わないとのことです」
テーブルの上に置かれたのは一枚の小切手。金額は五百万円と書かれている。

