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愛おしいキミに極甘な林檎を
第53章 あなたがそばにいれば……

「わっ、私は大丈夫ですよ……!そういう人がいたら逃げますから」
「何が起こるか分からない世の中ですから、逃げ切れると言いきれません。
風子様の身の安全を考えるとやはり婚約を破棄した方がいいのではないでしょうか……?もう一度よく考え直してください」
「……そうした方が丸く収まるんでしょうね」
しゅんとしている私の隣でソラ先輩が真面目な顔して言う。
それは私も薄々思っていたことで考え出すと悲しくなってくる。
テーブルの下で震える手で拳を作っていると、ソラ先輩が社さんに見えないように手を重ねてきて落ち着けようとしてくれた。
「ですが、俺は強欲なもので。そこまで優しくなれないみたいです」
「やはりそうですか……。諦めないと思っていました。塑羅緒様のご両親もそう仰って笑っておりましたから。
……風子様も同じ気持ちなのでしょうか?傷を深くしないためにも決断するのは早い方がいいです」

