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愛おしいキミに極甘な林檎を
第53章 あなたがそばにいれば……



「もちろん、いいよ」


ソラ先輩は何も動じていないけど、スマホを見ていると書き込みはまだ増え続けている。


この状況で二人で外に出るのは危険だ。


でも冷蔵庫はからっぽで、数日分の食材を一人で買いに行って持つのは重い。



そこで思い浮かんだことがひとつあった。



次の日になってそれを実行してみる。



「風子、買い物に行く準備はまだ終わってないかな?」



待たせているソラ先輩がやってきた時、私は全身鏡の前ある事と格闘していた。


今日は興味本位で買った短髪のウィッグを被り、シンプルにジーパンを履いている。


これはその格好を活かすための仕上げだった。



「んぐぐぐ……」


「なっ、何をしてるの……?」


「胸を潰しているんです」


「どんな服を着ても大きいのが分かるし、潰すのは勿体ないと思うよ?」



「これは男装をしているつもりなんです。万が一、ソラ先輩の顔を知られても男の格好をしていれば私が婚約者だってバレませんから」


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