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愛おしいキミに極甘な林檎を
第9章 曖昧と鏡の前のお仕置き

「俺に振られたと思って、他の男と結婚して幸せに暮らしてるんだろうなって思ってた。だからまだ結婚してないようで安心したよ」
困ったように笑ったソラ先輩を見てなぜだか胸が苦しくなる。
帰ってくるのがもう少し遅かったらそうなっていてもおかしくなかった。
でも遅いも同然だ。
離れてしまったせいで私には好きだと思える人ができた。
何も言えないまましばらく歩いて、いきなりソラ先輩が立ち止まって私の手をそっと離す。
どうしたのかと思いきや、自販機で飲み物を買っていた。
「はい。ここまで来るのに寒かっただろうからこれでも飲んで温まって」
「ありがとうございます」
渡してくれた缶を見ると私が好きでよく飲んでいたミルクティーだった。
覚えていてくれたんだ……。
先週帰る前に渡されたお土産も私好みの物。
この辺は以前と比べて何も変わっていない。

