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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り

入ってくる“子”っと言っているから、きっと今回入ってくる人も女性な気がする。
鈴川さんの時のように期間が決められて雇用されるわけじゃないから、しばらく一緒に働くことになりそうだ。
仲良くなれるといいけれど……。
「良かったねー。年下が入ってこないおかげで乙羽さんはいつまでも可愛がられるよ。……課長とお幸せに」
最後の台詞は課長に聞こえないようにこっそりと言われた。
“彼氏とお幸せに”っと言ってもらいたかったけど、面倒なので余計なことは言わずに黙っていた。
陸田さんがいなくなってしまうとなると寂しいだけでなく、課長とどう付き合っていけばいいのか難しくなる。
お節介をされることがなくなるのはいいけど、現実逃避できるような明るい人がいなくなったことによってプライベートの雰囲気を持ち込んでしまいそうな気がした。
仕事が終わって陸田さんが先に帰った後、私の隣のデスクは何も物が置いておらず綺麗になっていた。
チョコレートが乗っていて、書類でぐちゃぐちゃしていたのに……。
「乙羽、そろそろ帰るか」

