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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り

なぜ名前を知られているのか分からないけど、私は潮崎さんのことを今初めて見る。
名刺も渡していないし、高校時代の同じクラスにもいなかったと思う。
そうなると……――――
「今は乙羽になってるのかー。苗字が変わったってことは結婚した?」
胸の下にある私のネームホルダーを潮崎さんが手に取って見てから気付いたけど、背後から課長の冷たい視線を感じる。
仕事の手が止まっているからいつまでも話していると怒られてしまいそうだ。
「親の都合で苗字が変わっただけで結婚はまだですけど……。えっと……、知り合いでしたっけ……?初対面だと思うのですが……」
「中学二年生までクラスが一緒だった同級生も忘れてるのかー……。……初恋の相手も忘れるとはショックだなぁ」
「はっ?」
初恋……?
今、初恋って言った……?

