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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り



それも何のことなのか全く分からなくて目をぱちくりとさせる。



「風子の初恋の相手はおれだよ。おれも風子のことが好きだったけど」


「はいっ!?」


あまりにも唐突な発言に驚いた私は大きな声を上げてしまい、一気に周囲の視線がこちらに集まった。



それを感じて辺りを見渡すと、私と同じように驚いている人もいれば課長のように険しい顔をしている人もいる。


とんでもないことを同じ課の人に知れ渡る羽目になってしまって冷や汗が出てきた。



「おい、そこ。再会を喜ぶ話は後にして仕事を始めてくれないか」


静まり返った職場内で課長が一喝する。



「申し訳ありません!しっかりやりますのでご指導の方よろしくお願いしまーす!」


怒られたのにも関わらず、怯まずに頭を下げて謝って仕事をする準備に取り掛かる潮崎さん。


その横顔を見ていると希望に満ちていて、この状況を何もかも気にしていないようだった。



一方、私は先程まで好調に進んでいた仕事が手に付かなくなるほど唖然としていた。



「おい、乙羽。さっきから手が止まっているぞ。具合が悪いのか?」


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