この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り

「だっ、大丈夫です。先程頼まれた書類はもう少しで終わりますので」
個人的に注意されてしまい私は急いで仕事に戻るけれど、すぐ隣にその原因の人物がいるせいでなかなか気持ちを切り替えられない。
右に顔を横に向けると笑顔で応える潮崎さん、左を向くと機嫌が悪そうな課長。
これからこのポディションでやっていかなければならないと思うと先行きが不安になってきた。
陸田さんがいた頃がどれだけ気楽だったか思い知る。
なんとか午前中の仕事を終えて迎えた昼休み。
デスクの上にお弁当を置いた時、財布を片手に持った潮崎さんに手招きされる。
「風子、どこに自販機があるか教えてくれよ」
「わっ、分かりました」
潮崎さんと一緒に廊下の方へ向かう時、課長の視線を感じた。
初恋の人だと言われて動揺して、途中で手を休めてしまったことをまだ怒っているのかなんとなく怖い。
「それにしても風子は美人になったなぁー。男を魅了するような体つきだし、この会社は男が多いからモテない?」

