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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り



ホッと一息ついてからソラ先輩と目が合うと私の方へやって来る。


側で顔を見ると怯えていた体がスッと楽になった。


「遅くなってごめんね。怪我はしてないかい?」


「私は大丈夫です。……課長が助けてくれたので」


「風子を守ってくれてありがとうございます。郁哉さんは大丈夫ですか?」


課長は拳を当てられた頬を抑えて少し前かがみにしている。


感じの悪い男に何度か殴られていたから、とても痛そうだった。



「危ないところを助けてもらってすまない……。よく止められたな。
オレでは喧嘩慣れしていないから情けないことに体も動かなかった」


「喧嘩に慣れているというか、いざという時のために護身術を習っていましたから。
最近右手のリハビリを兼ねて鍛えていたので役に立ちました」


私もその姿を感心しながら見ていたから知っている。


未だにソラ先輩はリハビリを続けていて、たまに筋トレもしていた。


「そんなことより手当をしますので、うちに寄っていってください。こんな寒いところで話すのもなんですし……」


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