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愛おしいキミに極甘な林檎を
第56章 あなたを愛しているから……

傷つかないためにソラ先輩は私と初めて会ったフリをしてくれていたんだけど、これで良かったんだと思えた。
真実を教えられた今になっては、ソラ先輩が私の態度についてどう思っているのか分からないけど……。
休憩時間を終えて仕事に戻ると潮崎さんと早速話すタイミングがやって来た。
書類を持って私の方にくるりと椅子を向けて近づいてくる。
「なぁ、風子。この書類の作り方を教えてくれない?」
「どこが分からないの?……もしかして、ここの表のところ?」
「うん、そこ!タメ口で話してると中学生の頃を思い出すようで嬉しいなー」
「ここは学校じゃなくて会社だから。ほら、仕事、仕事!」
浮かれて脱線しそうな潮崎さんを注意してから自分の仕事に戻った時、なんとなく課長から視線を感じた。
また怒られるのかと思ったけれど、その後に注意されなかったからそうではないようだった。
潮崎さんがきてから仕事中に向けられる課長の視線に不安になることが多い。
一体、何を考えているのか分からないから――――

