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愛おしいキミに極甘な林檎を
第57章 私は愛しい大魔王の小悪魔



離婚をしても子供を一人で育てていく当分のお金はある。


ソラ先輩が私に遺産相続してくれたからだ。


その額は驚くものだった。


でもお金はあるからと言っても欲望のままに使うことはできない。


このお金は結菜のために使いたいと思う。




それから郁哉さんと別れて、私は実家に戻ってこれからどうしていくか考えていた。


子供を産んでから働いていなかったから仕事も決まっていない。



時間だけが過ぎていく中、ひとりで太陽の光が差し込む縁側に座ってぼんやりと空を眺めていた。


今日の空は飛行機雲が目立つほど青く澄んでいて、広々として綺麗だった。


髪をふわりと撫でる風も気持ちいい。



父と母は仕事に行っていて、結菜と家の留守番をしているから他に誰もいない。……なんだか退屈だ。


「はぁー……。まさか自分が離婚するとは思っていなかったな……。

シングルマザーになっても頑張らないと……。

これから住むところはどうしよう……。ずっと実家にいるのも悪いから困ったなぁ……」



「困ったね、風子。抱きしめたいのにどうしてもキミに触れることができないみたいだ」


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