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愛おしいキミに極甘な林檎を
第57章 私は愛しい大魔王の小悪魔



止めに入ろうとしても私では迫力がないのか口喧嘩が終わる様子はない。


火花を散らすようなくらい睨み合っていて、間に挟まれている私には眼中にないようだった。



「オレ以外に適役はいねえだろ。何しろ塑羅緒と血縁者だからなあ」


「浮気をした元カレに風子さんは任せておけませんね!
風子さんには二度とそんな苦労をしてもらいたくありませんから」


「いいや、もう浮気なんてうんざりだからしない!
結婚するのは風子の子供と血の繋がったオレだ!オレと言ったらオレだ!」


三十代のいい大人の怒鳴り声が終始左右から聞こえてくる。よく終わらないものだ。


「オレオレ詐欺はやめてもらいましょうか。風子さんはそんなのに引っ掛かったりしません。
次の夫になるのは僕です!」


「なんだと!?オレなんだよ!」

「僕です!」

「オレだ!」


いつまで経っても喧嘩に埒の開痺れを切らした私は思い切って二人の間に割って入った。


「あー、もう!うるさーい!どっちも、ちがーう!」


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