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愛おしいキミに極甘な林檎を
第57章 私は愛しい大魔王の小悪魔



予想していたことを話すと郁哉さんは小さく溜め息をついた。


寒さで白くなるその息がとても重く感じる。


「本当の本当に違う。嘘は言っていない」


「何もなかったのなら辻褄が合いません」


「塑羅緒くんのことを傷つけるか乙羽のことを嫌っている……、その二つ以外の理由は考えられなかったのか」


「あるわけないじゃないですか」


その他の理由なんてあるはずがない。

あったのだとしたらもっと怖いことだ……。


どんな答えが待っているのか、警戒しているような目を向けていると郁哉さんは眉尻を下げて急に笑った。




「……ただ単純に乙羽のことが好きなだけだったんだ」


周囲に誰も歩いていなくて静かな場所で言われた告白のような言葉はとても優しくて耳に残った。


でも私にとってそれは予想外の答えで、理解するまで少しばかり時間が掛かった。


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