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愛おしいキミに極甘な林檎を
第57章 私は愛しい大魔王の小悪魔

「婚約を破棄された後、乙羽から離れようとして異動願いを書いたんだ」
「えっ……」
「今の会社内での異動の希望だったんだがな、課長なんだからしっかりしろっと言われて通らなかった……。そしたら偶然かもしれないが、陸田が飛ばされる羽目になってしまった」
婚姻届を破いてから何の変化もなく仕事をしていたと思っていたから、郁哉さんが異動しようと考えていたなんて信じられなかった。
結婚は断ったけど、上司としては好きだったから口を閉じることも忘れてしまうほどショックだった。
「来月にまた書いてみるから乙羽は気にしなくて――――」
「嫌です!課長がいなくなるなんて嫌です!そんなことしないでください!」
我儘かもしれないけど、上司は郁哉さんがいい。
職場の皆から慕われている課長が私のせいでいなくなってしまうと思うと悲しくて目に涙が滲んでくる。
「そう思うんだったら、塑羅緒くんではなくオレを選んでくれ」

