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愛おしいキミに極甘な林檎を
第57章 私は愛しい大魔王の小悪魔



静かに降り続く白い雪。

周囲に誰もいない場所でその雪をふたりで見ながら話す。


場所は違うけれど、この光景はとても懐かしい気がした。


冷たい空気に切なそうな瞳。

それを見ていると、私に片思いをしていたソラ先輩を傷つけてしまった過去を思い出して胸が苦しくなってくる。


今の郁哉さんは、試しに付き合っていた頃のソラ先輩のようだ……。



寂しそうで切なそうな瞳に弱い私は、流されてしまわないように郁哉さんが座っていない方に目を逸らして答えた。




「それは、……できません」


強く固まっている想いであって誰に告白されても一番の座は変わらない。


でも、もし私が郁哉さんの立場だったら苦しくてこの場からすぐに逃げたくなる。


少し不安になったけど、大人である郁哉さんは指を組んだままで立ち上がる素振りも見せなかった。


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