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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

言われてから自分の頬に触れてみると、片方の目から涙が零れていたことに気づいた。
「あっ、すみません。大丈夫です。なんでもないです。……なんでも」
チョコを買ってから家の玄関まで送ってもらうとソラ先輩が帰っていた。
買い物に行く前に那砂さんと出掛けてくるとメッセージを送っていたから不思議な顔はされなかった。
インターホンを押すと玄関先までソラ先輩が出てきて、二人で那砂さんを見送る。
「那砂さん、今日はありがとうございました。一緒に出掛けてもらえて助かりました」
「いいのよ。那砂もチョコを買えてよかったし。……はい、彼氏くん。まだ早いけどバレンタインチョコ渡しておくわ」
「えっ!?俺にですか……。ありがとうございます」
先程買ったチョコを那砂さんがソラ先輩に渡した。
この気持ちはなんだろう。他の女なら嫌なのに那砂さんなら全く嫉妬心が湧いてこない。
「お返しはODIVAのクッキーでいいわ。風子ちゃん、買い物してる時にいきなり泣いたのよ。疲れてるみたいだから労ってあげなさい」

