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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人



「はい……。子供の頃もそう呼んでいたみたいで」


「……親しかったんだね」


「私は全く記憶にないんですけどね。会社で再会してからも顔と名前さえ思い出せませんでしたし」


「ふぅん。そうなんだ……」


不機嫌なのか、普通なのかどちらとも言えない相槌。


「怒ってる?」っと聞くと刺激してしまうだろうから、下手なことは言わないで黙っていた。




自宅に戻ってからリビングの暖房をつけて、コートを脱いでダイニングテーブルの椅子に掛けた。


「今日の晩御飯は何がいいですかね?」


何の料理を作ろうか迷っていたから話しながらスーツの上着のボタンを外す。


「ソラ先輩、聞いてます?晩御飯は――――」


二つ目のボタンに触れた時に返ってきた反応は、料理の名前ではなく不意打ちのキスだった。


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