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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

「……分かった。三十分で頑張ってくれ。他にも任せたい仕事があるからな」
「ありがとうございます!頑張りまーす」
「えっ!?課長、ちょっと待ってください!それはないですよ」
断りたかった私の声は届かないまま課長は部屋を出て行った。
救いを求めて伸ばした手をふらりと下へと落とした私を潮崎さんはニヤニヤとした顔で見てくる。
「愛人に見捨てられてやんの」
「違うもん!……私が先に課長にこれを提出してさっきの約束はなかったことにしてもらうから」
「はあ?それはなし!おれが先に持っていくもんね」
幼い子供が玩具を奪い合うようなくだらない喧嘩。これはこれで仕事が捗っている。
それに、ソラ先輩や課長とはできない子供のような喧嘩をできる相手ができて嬉しい気持ちもあった。
言動が子供みたいで呆れてしまうけど、異様にポジティブなところを見ていると笑えてくるから潮崎さんのことは嫌いにはなれない……。

