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愛おしいキミに極甘な林檎を
第59章 ふたりからひとつへ



二人で書いていたものは、提出する予定の婚姻届。


住所や名前はスムーズに書けても父母について私は複雑だからそこで躓いてしまう。


「ここは祖父が婚姻届を用意してくれた時に書いていたはずなので、どう書いたか聞いてみようと思います」



「あの時の婚姻届か……」


夫の欄に郁哉さんの名前が書いてあったけど破いてしまった婚姻届。


今にも溜息をついてしまいそうな顔で思い出しているのは、恐らくそのことを言っているんだろう。


「言っておきますけど、あの時の婚姻届は一緒に書いてませんからね。判子を押せって言われただけです」


「分かってるよ」


今こうして笑っていられるのは、郁哉さんを傷つけてしまうと分かっていても勇気を出して婚姻届を破いたからなのかもしれない。



誰かを傷つけることはとても胸が痛くなるけど、何があっても私はソラ先輩と歩む未来を選ぶ。


これだけはもう譲れない……。


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