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愛おしいキミに極甘な林檎を
第60章 夢見ていたシアワセの未来

「あれはアタシが適当な住所を書いて風子ちゃんに送ったのよ。
……どうしても颯太くんがあんた達を結婚させたかったみたいでね。
婚姻届を送ってみることを提案したのは那砂だけど」
颯太はその頃から私とソラ先輩のことを心配してくれていたんだ……。
私への気持ちを一刻も早く断ち切るために……――――
「もし……、その婚姻届を私が書いて送り返していたらどうなっていたんですか?」
疑問に思ったことを聞いてみると、ニヤリと笑った那砂さんはソラ先輩の方を指さした。
「風子ちゃんが書いた婚姻届を次は彼氏くんに送って、証人の欄に那砂と颯太くんの名前を書いて完成させて……、今すぐ市役所に提出してこいって言っていた……かもしれないわ」
知らない人の名前を書かれて、結婚させられるのかとずっと思っていた。
赤い糸を切ろうとする人もいれば、繋いでくれようとしていた人もいる。
そのことを知ったら心がじんわりと温かくなってきて、瞳が少し潤んできた。

