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愛おしいキミに極甘な林檎を
第60章 夢見ていたシアワセの未来

座っていた椅子に戻って再びペンを持ち、三十分ほど経った頃。
隣の寝室が静かなのがどうしても気なって、足を音を立てずにドアの前へ向かった。
そーっとドアノブを捻り、隙間からこっそり覗いてみる。
息を殺し、物音を一切立ててはいけないこの状況に全神経を集中させる。
覗いていることがバレてしまったら私は地獄の底に落とされるだろう。……夫が大魔王だけに。
でも普段は物事に敏感な塑羅緒さんは気づいていないようだった。
今日は疲れているのかな……。
腰を下ろしていたのはベッドの上でなく、机の椅子。
スマホも片手に持っていなくて、絶対に自慰をするだろうと疑っていた自分が恥ずかしくなる。
持っていたのは一本のペン。
真剣な顔をして机の上に置いてある何かを眺めながら考えているように見えた。
ここから机まで距離があるから、何と向き合っているのか判断できない。

