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愛おしいキミに極甘な林檎を
第60章 夢見ていたシアワセの未来

二度と会わないと思っていた人物が目の前に現れて、動揺して体が動かなくなる。
「久しぶりですね。お姉さん」
マンションの玄関で私を待っていたのは新くんだった。
塑羅緒さんの会社の定時は過ぎているけど、ここまで来るのに三十分以上時間が掛かる。
普通に仕事をしていたらどう考えてもこの時間にいるはずがないから予想外だった。
とりあえず関わってはいけないと思い、横に避けてこの場から逃げようとする。
でも私の前に立って阻止されて通してもらえない。
「っ……、退いてください」
「お姉さんに用事があるのに退くわけないですよ。ボクのことをもう忘れたというんですか?」
忘れてなんかいない。
寧ろ、ネット上で噂が立ってから何も手を出してこなかったからおかしいとは思っていた。
それに塑羅緒さんもまだ警戒しているようだった。
解決していない問題についてこれ以上刺激しないためにもここは私は何も話さない方がいい……。
「…………」
「無視ですか?酷いなぁ……。前は優しくしてくれたのに」

