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愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意



「俺の前からいなくなってしまった方がずっと怖いよ。でも傍にいるならいくらでも希望が持てるからね」


「だけど、私たちの大事な思い出が……」


「俺が全部代わりに覚えてるからなくならないよ」


「ふたりの思い出をひとりで覚えているのがつらくないんですか……?」


こんなにも悲しいことが起きているのに、動揺せずに真っ直ぐ前を向いている姿を見ていたら目に涙が浮かんできた。


妻から他人へと意識が変わってしまう私を突き放してもおかしくないのに……。



「過去も大事だよ。でも風子と一緒にいられる明日の方がもっと大切なんだ」


「大切なのは未来ですか……」


「うん。今まであった幸せな出来事を思い出してもらえないのはもちろん悲しいけど、夫婦になった今は振り返るんじゃなくて前に進んでいきたいから。

過ぎ去った日は思い出せなくても、幸せな明日を作ることはできるよ」



「ソラ先輩は強いですね……。こんなことを思ってしまう私から逃げずに付き合ってくれるんですから……」


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