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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……



「任せてくれ」


挨拶を終えたソラ先輩は自分の働いている会社へと向かい、知らない場所に残されて寂しく思った。


でも我儘を言ってここまで連れてきてもらったからには頑張らないと……!



「…………」


心の中で気合いを入れていると、郁哉さんが私の方をチラッと見てきてから視線を逸らし、またこちらに目を向けてくる。


瞬きをしていると手招きされて、後をついて行くとエレベーターの前まで案内された。



「何から何までしっかりしている旦那さんだな。あのくらいの歳の頃のオレはここまで気が回らなかったぞ」


「そうなんですか。自慢になってしまいそうですけど、私もうちの夫ってすごいなって思います」


「……素敵な人と結婚できて幸せだな」


「はい。私もそう思ってます」


話したのはそれだけで上の階からエレベーターが降りてくるまで沈黙の時間が流れた。


乗ってから二人きりになっても何も話すことがないのか郁哉さんは口を閉じたままだった。


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