この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……

郁哉さんは誰も使っていないデスクをもう一度寂しそうに眺めてから、その気持ちを押し殺すように潮崎さんにニヤリと笑ってみせた。
「喜べ。戻ってくるのは元気はつらつの……――――男だ」
一方、枝が折れた場所から新しい枝が生えてくるように違う未来へ前を向いて歩き出そうとする人もいる。
午後七時過ぎ。街灯の光が微かに届く路地裏にひっそりと建っていてドアの隣の外壁にネオン管で【なずな】っと書かれている店の営業が始まる。
それを狙ってやって来た一人の男性がドアを開けて入った。
「いらっしゃいませ~!」
客が来たことを知って挨拶をしてから振り向いた店の女性(?)は、濃い口紅が似合う化粧をして、首元と肩を露出している派手なドレスを着ていた。
その姿を見て「はぁー……」っと呆れたように溜息をついた男性はカウンターへ座る。

