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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……



席はカウンターしかない狭くて小さな店だけど、そんなことを気にしている暇もないほど店主の女性(?)は明るい笑顔を見せる。



「理人くんじゃなーい!那砂の店に来てくれるなんて超嬉しい!」

「まったく。また仕事を辞めたと思ったら今度はスナック経営ですか。那砂は相変わらずですね」


「ここなら色んな男が見れるからよ。今まではお父さんの建築会社で男を見てきたけどなんか飽きちゃってー」


那砂さんが話ながら手慣れた様子でお冷作ってテーブルの上に置く。


まだ他の客が来ていないから、カランッと氷がグラスに当たった音が聞こえるほど店内は静かだった。


そのお冷を少しだけ飲んだ理人さんの視線はどこか哀愁が漂っている。



「繁盛しているようには見えませんが」


「うるさいわね。まだ開店したばかりだからよ!

ここにはねぇ、昼には僅かな仕事の休憩時間に店の料理に癒されに来る男。夜には酒とたまり場を求めてくる男。

やって来る人が男だらけ……。ママという仕事はまさにアタシの天職!」


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