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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……

那砂さんがそう言ってからさっさとビールとおつまみを出しても理人さんは指を組んで俯いたままだった。
まるで仕事で大きなミスをしたように肩を落としている。
その様子を見兼ねた那砂さんはバックヤードへ向かい、何やら入った小さな紙袋を手にして戻ってきた。
「はい。結婚式の時にアタシが撮ったやつ。
颯太くんにはあげたけど、理人くんにはまだ渡していなかったから。スマホを使えないジジイに見せるには画像データじゃなくて紙の方がいいでしょ?」
紙袋から出したのは、理人さんと那砂さんが三ヵ月前に参加した結婚式の写真。
それは挙式が始まる前から二次会のものまであって簡単に数えられる枚数ではなかった。
「なんで僕ばかり写っているんですか。花嫁と花婿をちゃんと撮ってくださいよ」
「だって、アタシの花婿は理人くんだからぁ。……後ろの方にそれもちゃんとあるから安心しなさいよ」
テーブルの上に次々と写真を並べていくと、その結婚式の主役が笑い合っているものが現れる。
「風子さん……」

