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第63章 愛おしいキミに……

「今日は仕事で疲れてるから会わないって断られたのでいいんですよ」


颯太さんはポリポリと頬をかいて照れくさそうに視線を逸らした。


「可哀想に。今度の女は仕事優先なのねぇ～。積極的そうに見える颯太くんが振り回されるとか考えられないわ」


「女性と付き合うのが久しぶりなので扱いが分からなくなってるだけです」


やっと笑い声が返ってきた後、隣でビールを飲んでいる理人さんが再び写真を見始める。


トクトクと焼酎を注いでいる音が聞こえてくる中、颯太さんもテーブルの上へ視線を落とした。



「オレが言うのもなんですが綺麗な花嫁ですよね。もし、オレが風子と別れずに付き合っていたらこんなに美人にはなっていなかったなって思います」


「塑羅緒さんの溺愛っぷりには颯太さんでも敵いませんか。そういえば、颯太さんは従兄弟なんですよね。会っていらっしゃいますか？」


「見舞いに行ったっきり会ってないですね。あいつも仕事が忙しいのかこっちの祖母の顔も見に来てませんし」


「そうですか……」


「……っというか、さっきからなんで二人で落ち込んでいるんですか？そんなにこのボロスナックの経営がやばいとか……？」