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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……



すぐに離れるかと思いきや、しばらく私に触れたまま動かなかった。


甘えているというよりも温もりに浸っているように見える。


秋になったものの、まだ肌寒くもないというのに……。


どうすればいいのか分からないまま抱かれていると、ぐうっと私のお腹が鳴った。



「ううう……、すみません……」


恥ずかしく思いながら謝ると背中に回されていた手が私から離れる。


「ははっ、お腹が空いたんだ?」


変な音を聞かせてしまったせいで目を合わせにくくなったから、こくんと頷いて返事をした。


「晩御飯を食べるにはまだ時間が少し早いからおやつにしようか。そろそろご飯も炊いておかないと……」


台所へ向かって行く姿を見てから私は電子ピアノが置いてあるテーブルの方へ戻った。


さっきの続きをしたくて電源ボタンを入れて鍵盤に触れて音を奏でる。


しばらく楽しく弾いていると、りんごをのせた皿を持って戻ってきてその姿を見られる。



「今弾いていたその曲は……」


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