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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……



私を抱きかかえたまま手を伸ばしてテーブルの上に置いてあったりんごを取る。


まだ切っておらず、皮も剥いていないもので、その果実はしっかりと赤く色づいていた。



「夜ご飯が食べられなくなっちゃうので今は大丈夫です。……私ってば毎日寝てばかりですもんね」


「今はそれでいいんだよ……。焦らずゆっくりでいいんだから」


返事に困った時、私を支えている方とは反対の手で握って乗っているりんごが目に入ってきた。


傷んでいない上に色ムラもなく、光沢があって美しい。


「そのりんごも美味しそうです。大きい……」



「このりんごは咲いた花を受粉させて、一株にできた五つくらいの実から選ばれて育った貴重な存在なんだよ」


「どういうことですか?」


「大きな果実を作るためにはより多くの栄養が行き届かないといけないから、複数の実を間引くみたいなんだ」


「切られちゃった実はなんだか可哀想ですね……」


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