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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……



「でもね、一個を大切に育てるからこそ甘くて美味しいりんごができるんだよ」


テーブルの上に再び置かれたりんごを見るために後ろを振り向いた。


花を咲かせてから実をつけるまで晴れの日も雨の日も強く生き抜いてきたんだろう。


それを越えてきても、生き残れるのは一個だけ……。



まるで複数いる恋人候補の男性の中からたったひとりの生涯のパートナーを選んだみたいに思えた。


ひとつ選んで甘く大きく育ったのが今、テーブルの上にあるりんご……。



前を向くと綺麗な顔立ちをしている特別な人が目に映る。

穏やかな表情をして見つめられていてドキッとした私は視線を逸らした。


「どうしたの?」


「なっ、なんでもないです……」


そう言っていても本当は何でもないことはなくて、ドキドキと鼓動が早くなっていた。


口を動かさないでいると私の下半身を支えている太股の感触が気になってしまってなんだか体がムズムズする……。


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