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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……

「ねえ、りんごの花は何色だと思う?」
「赤い実がなるから赤なんじゃないでしょうか」
「……そう思うんだね」
静かに返事をされた後に背中を押されて体を寄せられた。
また包まれてピタリとくっつくけど、自分の手をどこに持っていけばいいか分からないのは変わらない。
手に触れられた時もそうだけど、抱きしめられるがまま。
でも嫌ではないから受け入れている。
「間違い…でしたか……?」
「りんごの花はね、白いんだ」
「白なんですか。白い花びら……、きっと綺麗なんでしょうね」
「五月頃に咲くんだけどね。綺麗だよ。……とっても」
しばらくしてから触れていた上半身を離して顔を見ると先程と同じ笑みを向けられる。
その笑みにつられそうになって目が覚めてから下がりがちだった私の口角も少し上がるようになっていた。
「実の方も見惚れちゃうほど綺麗な色をしています。ここまで大きく育つまで色々あったんでしょうね」

