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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……

「そうだね」
薄いカーテンの隙間から夕陽が差し込んできて私たちをほのかに照らす。
カーテンを閉めるついでに見てみたいと思うほどその光が美しそうだけど、今はすぐ側にいる特別な人に目が釘付けだった。
それでも私はどんなことを話していいのか分からなくて静かに見つめているだけ……。
退院してきてからここ一ヵ月ほど、こうやって静かな時を過ごしていた。
マンションに戻って来てから会った人は両親だけで毎日目の前にいる男性を眺めている。
「ちょっとベッドで横になろうか。……掴まって」
言われた通りに首の後ろに腕を回してみると体を抱き上げられて寝室の方へと運ばれていく。
重たいのにそういう素振りも見せないし、つらそうな声も出さない。
「ううっ……。なんかこの格好、恥ずかしいです」
「ただ運んでいるだけなのに何が恥ずかしいのかな?」
「っ……」

