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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……

「はい。全然嫌じゃないです」
「そうか……」
どこか安堵したような声のトーン。
その声と共に頬に触れられるのも嬉しく思えた。
自分からは見えないけれど、顔が熱いから赤くなっていそうだ。
体調はいいから熱いのは別のせいだと思う。
目に掛かった前髪を横に流された時、また小さく笑われてその理由を知られてしまった気がした。
「りんごは寒さに強くてマイナス三十度くらいまで耐えられるらしいよ」
「そんなに……。果物なのにかなり強いんですね」
「うん。そして厳しい寒暖差に耐えたりんごにはね、極上の甘い蜜が詰まるんだ」
先程食べたりんごにも、果実が黄金のように染まっていて蜂蜜のようにとびきり甘い部分があった。
きっと、そのことを言っているんだろう。
「極上の甘い蜜ですか……」
「うん。俺たちのこれからの未来のように」
「林檎の蜜みたいな甘い未来……?」

