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愛おしいキミに極甘な林檎を
第63章 愛おしいキミに……

「俺抜きでの用事とは珍しいですね。そんな用事はなかったと思いますけど」
「今回は急用でしたので」
二人の声のトーンと言葉から穏便に話が進んでいるようにも思えるけど、そうでもないようにも見える。
知り合いだとしてもそこまで親しいわけではないんだろうか。
「でも風子様の体調が良くないようなので本日はこれで失礼致します。それに少しこの辺りを見て帰りたいので」
「そうしてもらえると助かります。……この辺の駅の近くは色々と変わりましたよ」
「なるほど。そちらに行ってみようと思います。……それではまた」
「はい。わざわざ遠くからお疲れ様です」
会話が終わったと思い、社さんの方を見ると会釈をしてから重たそうなビジネスバッグを持って私たちの前から去って行く。
どうしてソラ先輩に用件を話さなかったのか、ますます謎が深まるばかりだった。
「さあ、本当に体調を崩してしまう前に家に入ろうか」

