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愛おしいキミに極甘な林檎を
第13章 それぞれの気持ち

乱した私の服を直すように触れてきて、すぐに答えようとしない。
「理人さん、もったいぶらなくてもいいんですよ。最初の出会いからドン引きしてますから」
笑顔で言って急かすと理人さんは小さく笑い返してから指を組む。
でもその手は少し震えているようにも見えた。
「……僕はお金が欲しいんです」
「お金ですか……」
ちょっとだけ悲しかったけど、そんなことだろうと思っていたからあまり驚かなかった。
「税理士の稼ぎは悪そうに見えませんけど。うちの親みたいに多額の借金があったとか……?」
「稼ぎはそこそこですし、借金は奨学金くらいです」
「ですよね……」
私みたいな借金のパターンは稀だろう。

