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愛おしいキミに極甘な林檎を
第19章 誘惑と片思い

「僕は風子さんのことをこんなにも繊細に扱ってるのに?」
隣に座っている理人さんに髪をさらっと撫でられながら言われてぴたりと合った視線を逸らす。
「お金が絡んでるから私に優しくしてるって分かってますから」
「金の事だけ考えてたらあなたの幸せを願ったりしませんよ」
「…………」
今まで助けてもらったことを思い出すと何も言い返せなくなった。
向けているのが優しさではなく、微かに別なものにも見えてきて戸惑ってしまう……。
土日は仕事が休みで家にいた。
外出したいのに祖父と理人さんが目を光らせられていて引きこもっているしかなかった。
暇だからお菓子を作ったり、スマホを弄っていた。
この世にメッセージと言うやり取りの手段があって良かったと心から思う。
休みが明けて会社から帰ってくると、那砂さんがお手伝いの仕事にきていた。
「おかえりなさ~い!風子ちゃんの部屋、掃除機をかけておいたわよ」

