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愛おしいキミに極甘な林檎を
第3章 狙われる雌

息が苦しくなるくらいのキスをした後に抱きしめられ、ひとりではどうしようもできなかった苦しみが和らいでいく。


ソラ先輩につけられた傷は消えないけれど……。



失恋の痛みを男でしか埋められない自分が情けなくも感じつつ、グレーに染まった日々からやっと前に踏み出せた気がした。


外に出ると見慣れた街なのに世の中が広く見える。


まるで囚われていた籠から放たれたようだった。

今まで過ごしていたその籠から離れるのは名残惜しい。

でも私は飛び立つことに決めた――――



秘密の関係を持った日以来、嘘のように仕事で失敗することがなくなった。

「課長、コーヒー置いておきますね」

「ありがとう。乙羽は気が利くな」


「いえ、いつも昼過ぎに飲まれているようだったので」


「乙羽さん、前みたいに仕事ができるようになったねー。最近笑うようにもなったし、何か嬉しいことでもあったの?」

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