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愛おしいキミに極甘な林檎を
第22章 幸運と四人目の男


「えっ……」


「八百万円を差し出せばすぐに解放されるよ。元々血縁者からは離されて暮らしていたんだし、風子が気負う必要はないと思うんだ」


血の繋がっている父と母の顔さえも分からないからソラ先輩の言う事も分かる。


髪をさらりと撫でる潮風に吹かれながら私は唇を噛んだ。


「祖父に返済したとしても何も解決しませんよ。
それに私を育ててくれた乙羽家の両親に何をされるか分かりませんからそれはできません」


「そこまで脅されてるんだ……」



「本当にするのかは分かりませんけど……。それに八百万円の借金を背負った気持ちが分かりますか?
私はソラ先輩に不幸を背負わせたくありません。親に頼るのもいけないと思います」


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