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愛おしいキミに極甘な林檎を
第22章 幸運と四人目の男

「お金は親から借りはするけど一生をかけて返済するよ」
「何年かかるんでしょうね……。そう簡単に払える額ではないですから苦労が目に見えてます」
「俺は風子とならどんな生活でもできると思ってるよ。それに、その時はお爺様の跡を継ぐ。社長になれるように必死で働くから」
「ソラ先輩が社長になることを望むならそれでいいと思いますが、望んでいなかったらその未来を選んで欲しくありません」
「どう言っても相容れないか……」
「すみません……。これだけは譲れません……」
「そうか……」
海辺の方に向かって少し歩を進めて立ち止まったソラ先輩は地平線を見ていた。
広くて頼もしい背中がいつにも増して寂しそうに見える。
私と結婚するために色んなことを考えてくれているのに応えられなくて胸が苦しくなってきた。

